蚊におけるpiRNAによるウイルス免疫機能
月曜日にpiRNAについて勉強し、セミナーを聞いたが、元の論文を読んだのでメモ。
そもそも、piRNAは生殖細胞においてトランスポゾンの有害な活動を抑制する役割があることが知られている。そのpiRNAがウイルスに対する生態防御に働いているのではないか?という内容。
この仮説に至るまでのポイントは
- 蚊はウイルス感染時にpiRNAを作ることが知られている。
- ウイルスの配列が蚊のゲノム内に発見されている。これをendogenous viral elements:EVEsとよび、ここでは特にレトロヴァイラス以外のものを指す。
- EVEはpiRNAのテンプレートとしてはたらく。
- ただし、発見されているEVEの元になるウイルスは現在広く存在していなかった。今回、筆者らはCFAVというものを見つけ用いた。
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結果
解析方法はかなり一貫している。small RNAをシーケンシングし、サイズのヒストグラムを作ってsiRNA(21bp)とpiRNA(26-30bp) どっちが多いか比べてみたり、26-30bpに絞ってマッピングしてどの領域からどれだけ、どちらの方向にpiRNAが生成されているか、配列のバイアスを考慮してそれがほんまにpiRNAなのか、をみている。
条件としては、outbred colonyかisofemale lineか、CFAVを感染した場合・していない場合、EVEをノックアウトした場合、臓器は卵巣か脳か、などでかえている。
具体的には、まずoutbred colonyを用いることでpiRNAが発言するEVE領域の候補を絞り、次にisofemale lineで同じような結果を得ているが、動物実験に詳しくないのでここらへんがわかりづらい。
さらに、EVEをdeletionしてCFAVを感染させると、siRNAは+/+,-/-ともに発現していたが、piRNAは+/+にしか発現していなかった。これは脳でも卵巣でも大体同じ。
EVE-/-にCFAVを注射して7日後のウイルス量を測定したらEVE+/+に比べて優位に増えていた。卵巣の方が優位差が大きかったので、特に卵巣でpiRNAが役割を果たすということに矛盾しない。
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outbred colonyとisofemale lineについて、あまりにも乱暴なので一応言葉くらいは調べておく。
outbred colony (closed colony)
外部からの動物の導入をなくして一定の集団内で長期間繁殖することで、母集団がさらに細分化されて遺伝的に分離・隔離が生じないように維持されている群。個体間の遺伝的な性質にばらつきを残しつつ集団としては特定の遺伝的形質を示すように維持されている。飼育が楽。inbredと対比するとわかりやすい。inbredでは兄弟交配を20世代以上した系統で、わずかなヘテロ接合性しか残されていない。
isofemale line
調べてみても難しそうな文献ばっか
originating form a single wild femal らしいが、よくわからない。
遺伝的ばらつきを非常にいい感じで解明できるらしい。
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これを書くのにも1時間15分かかってしまった。なかなか大変…
ラボの発表とかを2日間くらいで作れるようになるんだろうか?心配だが少しずつ練習していくしかない。