s.otsuki’s diary

駆け出し研究者。少しずつでも発信します。

なぜブログを書くのか

なぜブログを書くのか?

ブログといえば「日記」というイメージが強い人も多いかと思う。しかし、そもそもブログとはウェブログWeblogの略語であり、ウェブ上にログ(記録)を残す行為である。

研究者を志すにあたって何冊か本を読んだ際に「ブログを書くべし」というのがあったので、なんでもいいからと始めてみた次第である。実際書いてみるとアウトプットのいい練習になるし、勉強の記録になり自信につながる。現在は小恥ずかしいのでTwitterでしか共有していないが、いずれはfacebookにもあげようと思っている。

自分の研究について書いたり、英語で書いたり、頻度を上げたり、上を目指せばキリがないが、ひとまず週1回以上の頻度で何かまとまった内容を書けたらいいなと思っている。

ちなみに、githubも去年から始めているが、まだ全然上げていない。ともかく、アウトプットし恥ずかしがらずに公開することをポリシーとして掲げている。今は、全然他の研究者のブログを読んでいないので、お気に入りの方のを見つけてお手本にしようと思う。

参考リンクも貼っておく。

biomedicalhacks.com

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さて、前回TearExoについて、乳がんに関連し、エクソソーム内に含まれるmiRNAは何か?ということを話題に挙げた。今日は全然関係のない論文を読んでいたのだが、その中でKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)について出てきたので調べてみたところ参考になりそうなものが見つかった。

そもそも、データベースというものに関して非常に苦手意識が強いので恐る恐るだったが、意外と面白かった。KEGGは分子間のネットワークに関する情報を統合したデータベースである。細胞や生物をシステムとして理解する、その中心にあるのがKEGG PATHWAYである。

KEGGのサイトからKEGG PATHWAY>Human Diseases>Cancer>microRNA in Cancerと辿ってみる。

www.genome.jp

Breastのところを見ると、発癌の各ステップにおいて関与しているmicroRNAがリストアップされている。microRNAの名前の付け方が番号を振る形式なのであまり印象に残らないが、影響する遺伝子をみてみると見覚えのあるものもちらほらある。

1種類のmiRNAは複数の遺伝子の発現を制御するので、一つのmiRNAだけで癌種特異的ではないのは自明な感じがする。このPATHWAYにある遺伝子自体発癌メカニズムにコモンなものも多い。エクソソームのmiRNA profileを解析した結果が発表されれば面白そうだ。

 

KEGGであるが、データベースとしてはかなりみやすく、いろいろ使えそうである。疾患に興味があればKEGGでひらけば関連する遺伝子のリンクに飛べるので便利かもしれない。しかし、普通に調べる方が速いか?
個人的に感動したのはMetabolismのPathway。教科書で見たやつであるが、全体像の一部をクリックすることで部分的な代謝経路がわかる。

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いつも以上に稚拙な文章になってしまったが今日はここまで。

TearExo

こんなニュースが話題になっている。

news.yahoo.co.jp

涙液からエクソソームを検出し、乳がんの検診に用いるというもの。

乳がん若い女性にも生じるので検診が非常に大事。問診・視診・触診それから画像検査としてエコー・マンモグラフィX線)。引っ掛かったら生検。しかしマンモグラフィが痛いことが有名だったりして敬遠されがち。

痛くない検査でうん十万するものがあるとも聞いたことがあるが、検診にうん十万使うのは現実的ではない。

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 さて、エクソソームと聞いた時にexon+omeだと思い、涙液からomics解析ができるのか!?と興奮したが、全然違った…汗

www.cosmobio.co.jp

エクソソームは、細胞から分泌され情報伝達を担うとされているらしい。miRNAを中に含む。このmiRNAは、分泌する腫瘍細胞種によって異なるので、バイオマーカーとして用いることが期待されている。free circulating RNAとともに、RNaseから保護されているため、体液から効率的に回収することができる。

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実用化されれば、乳がんのみならず様々な癌に関して応用できそうである。
気になる点としては、特定のmiRNAを見れば良いのか、サブセット全体のプロファイルをみなければいけないのか、個体差はどうなのか、といったところから感度・特異度がどうなるのか、といったところか。

あとは、これは単なるマーカーなのか実際に生体に影響を与えているのか、も気になる。

検体が得やすいのですでに担癌患者の方から検体を得てざっと解析したらいろんなことが分かりそう。

アクチノマイシンD

アクチノマイシンD actinomycin D

商品名はコスメゲン

放線菌が産生するポリペプチド系の抗腫瘍抗生物質

 

今回これを話題にするのは

  • 使われる疾患はマニアックだが、何かと印象深い
  • 「抗腫瘍性抗生物質」というのが「抗生物質と抗菌薬は違うよ」ってことを理解するのに良いし、なぜ微生物がこんなものを産生しているのか不思議、という個人的好み
  • 最近論文を読んでいると基礎実験でかなり応用されていることを知った

というのが理由である。

アクチノマイシンの作用機序はDNA二本鎖に結合することによって複製や転写を阻害すること、なので基礎実験で用いられるのも納得である。

 

 

まずは臨床的観点から

参考サイトは薬の添付文書

 

www.kegg.jp

医学に関して国試勉強しかしてない自分にとってはYearNoteが馴染み深いので、これも参照にする。

 

 適応疾患

絨毛性疾患(絨毛上皮腫、破壊性胞状奇胎)

小児固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、腎芽腫、その他)

腎芽腫とWilms腫瘍が分けて書かれていたが、YearNoteでは同一に扱われていたので、ここでも同一とする。小児・産婦のマニアックな腫瘍ばかりである。

絨毛性疾患といえば、胞状奇胎、それが悪さをした侵入奇胎・絨毛癌があって、後者2つはメトトレキサートに加えてアクチノマイシンを用いる。絨毛上皮腫は絨毛癌の別名らしい。となると破壊性胞状奇胎は侵入奇胎の別名か。そもそもサーチしてもあまり出てこないので死語なんかも。

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最近の基礎研究関連で出てきたアクチノマイシン

www.nature.com

Figure3で用いられている。転写産物の量は転写スピードと分解スピードのバランスに依存するが、アクチノマイシンで転写をとめてやると分解スピードを見ることができる。

 

次にmRNA-seqのライブラリ作成時の応用例

mRNA-seqではmRNAを断片化した後にcDNAへと逆転写するステップがあるが、この際に、第1鎖を逆転写した後に第2鎖をすぐに転写してしまうとどちらがどちらか、遺伝子の方向が分からなくなってしまう。そこで、第1鎖を逆転写で生成する際にアクチノマイシンを入れておくことで第2鎖の合成が阻害される。第2鎖ではTではなくUを用いることでこれらを区別できる。これをstranded mRNA-seqという。

 

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案自体はあってもサクサクまとめられず、これも書くのに1時間かかった。

もう少しサクサクかけて、文献もサクサク調べられるようになったらいいのになぁ。

ひとまず、土曜日に更新した自分を褒めて良い週末を過ごしたい。

蚊におけるpiRNAによるウイルス免疫機能

 

chirse61.hatenablog.com

 月曜日にpiRNAについて勉強し、セミナーを聞いたが、元の論文を読んだのでメモ。

www.biorxiv.org

そもそも、piRNAは生殖細胞においてトランスポゾンの有害な活動を抑制する役割があることが知られている。そのpiRNAがウイルスに対する生態防御に働いているのではないか?という内容。

この仮説に至るまでのポイントは

  • 蚊はウイルス感染時にpiRNAを作ることが知られている。
  • ウイルスの配列が蚊のゲノム内に発見されている。これをendogenous viral elements:EVEsとよび、ここでは特にレトロヴァイラス以外のものを指す。
  • EVEはpiRNAのテンプレートとしてはたらく。
  • ただし、発見されているEVEの元になるウイルスは現在広く存在していなかった。今回、筆者らはCFAVというものを見つけ用いた。

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結果

解析方法はかなり一貫している。small RNAをシーケンシングし、サイズのヒストグラムを作ってsiRNA(21bp)とpiRNA(26-30bp) どっちが多いか比べてみたり、26-30bpに絞ってマッピングしてどの領域からどれだけ、どちらの方向にpiRNAが生成されているか、配列のバイアスを考慮してそれがほんまにpiRNAなのか、をみている。

条件としては、outbred colonyかisofemale lineか、CFAVを感染した場合・していない場合、EVEをノックアウトした場合、臓器は卵巣か脳か、などでかえている。

 

 

具体的には、まずoutbred colonyを用いることでpiRNAが発言するEVE領域の候補を絞り、次にisofemale lineで同じような結果を得ているが、動物実験に詳しくないのでここらへんがわかりづらい。

 

さらに、EVEをdeletionしてCFAVを感染させると、siRNAは+/+,-/-ともに発現していたが、piRNAは+/+にしか発現していなかった。これは脳でも卵巣でも大体同じ。

 

EVE-/-にCFAVを注射して7日後のウイルス量を測定したらEVE+/+に比べて優位に増えていた。卵巣の方が優位差が大きかったので、特に卵巣でpiRNAが役割を果たすということに矛盾しない。

 

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outbred colonyとisofemale lineについて、あまりにも乱暴なので一応言葉くらいは調べておく。

outbred colony (closed colony)

外部からの動物の導入をなくして一定の集団内で長期間繁殖することで、母集団がさらに細分化されて遺伝的に分離・隔離が生じないように維持されている群。個体間の遺伝的な性質にばらつきを残しつつ集団としては特定の遺伝的形質を示すように維持されている。飼育が楽。inbredと対比するとわかりやすい。inbredでは兄弟交配を20世代以上した系統で、わずかなヘテロ接合性しか残されていない。

isofemale line

調べてみても難しそうな文献ばっか

originating form a single wild femal らしいが、よくわからない。

遺伝的ばらつきを非常にいい感じで解明できるらしい。

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これを書くのにも1時間15分かかってしまった。なかなか大変…

ラボの発表とかを2日間くらいで作れるようになるんだろうか?心配だが少しずつ練習していくしかない。

炎症性腸疾患について

炎症性腸疾患 inflammatory bowel disease: IBD

クローン病 Crohn diseas: CD

潰瘍性大腸炎 Ulcerative Colitis: UC

IBDは原因不明の炎症疾患であり、おもにCDとUCのことである。どちらも若年に生じる。

腹痛・下痢といった症状は共通しているが、病変の場所・深さの違い、ほぼ同じ意味だが内視鏡所見の違い、あとはクローン病に肛門病変があることは有名である。

治療は内科的治療は5アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制薬、抗TNFα抗体製剤などで共通している。寛解増悪を繰り返すし、若い頃から免疫抑制続けるのはなかなか大変なので、外科的治療も考慮される。

外科的治療は病変部位の違いが反映されて、UCは大腸を全部とって回腸でJパウチを作って肛門につなげる一方、CDは病変が強いところだけをとったり狭窄を解除したり、ケースバイケースである。

クローン病の方が、小腸にも病変が出るから取りきれないし、「全層性病変」っていかにもやばそう、ってイメージ。

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さて、本題の論文について

www.sciencedirect.com

scRNA-seqを用いて主にUCについて解析している。CDもやったが結果がイマイチだったぽい。ラボのディスカッションによると根本的にデプスが浅い、ようで結論が非常に複雑になっている。正直いい論文かはわからないが、分かる範囲で流れをざっくりと。

 

まず、シングルセルの場合はクラスタリングをする。サブセットの発現を見て、既存の知見と結びつけて各サブセットに名前をつけている。さらに既存の知見と照らし合わせて、「このサブセットのこの発言はこういう意味なのかな」などと解釈し、実際に組織をIFAとsmFISHで染色して見比べる。ここまでがクラスタリングの評価。

この論文の見所であるOncostatin Mについて以下の論文が引用されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov

West NR, Hegazy AN, Owens BMJ, et al. Oncostatin M drives intestinal inflammation and predicts response to tumor necrosis factor-neutralizing therapy in patients with inflammatory bowel disease [published correction appears in Nat Med. 2017 Jun 6;23 (6):788]. Nat Med. 2017;23(5):579‐589. doi:10.1038/nm.4307

(話はそれるが、Pubmedで引用する際、”Cite"を押せば引用の型式が得られることに初めて気づいた。いつも「著者」「見出し」「雑誌名」「年度」でしょみたいな感じで「著者は何人書けばいいのか?」「ほんまにこれでええんか?」不安なことが多かったのでだいぶ気楽になる。)

 

さて、Oncostatin Mの話であるが、この引用論文によると

  • バルク標本のRNAseq
  • OSMとOSMRの発現がIBDで上昇
  • 病理学的重症度との関連もある
  • 実験動物でOSMをノックアウトあるいは薬剤による抑制をしたら炎症が改善。
  • 臨床コホート研究によると、治療前のOSMの発現が抗TNFα阻害薬への応答に関与する。
  • どの細胞で発現しているかは、骨髄細胞・間質細胞ではないか、というくらいで詳しくわかっていない。→今回の論文はシングルセルやから分かるかな?

という感じ。

実際、OSM:inflammatory monocyte and DC2s, OSMR:inflammation associated fibroblasts(IAFs)、で発現していた。

また別の論文を持ってきて、TNFα治療に対する抵抗性をスコア化する手法を導入している。これをサブセットごとに計算するとIAFs, inflammatory monocyte, DC2 cellsで大きかった。逆に、遺伝子プロファイルをまた別のバルク実験に当てはめると、治療抵抗性とコントロールで差が出たのはIAFのスコアであったため、治療抵抗群ではIAFが多いということになる。

OSMとTNFが関連を持ち、これにIAFが関わっているのではないか、と結論づけることができる。

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本当はもうちょっとあるが、整理しきれないのでここら辺にしておく。

自分なりの方向でまとめ直すと

  • 先行論文は全てバルク実験
  • バルク実験によると、TNFα治療に対する抵抗性との関連として、OSMや特定のスコアが浮き上がってきた。
  • それらを本実験のサブセットに当てはめるといずれも同じサブセットが浮き上がってきた。
  • 逆に、本実験のサブセットの遺伝子プロファイルを当てはめると治療抵抗群と対照群で差が出た。

バルクのデータから出てきたものをサブセットに応用する、サブセットのデータから出てきたものをバルクに応用する、という双方向性の解析をするようである。

ここでわからないのは、結局OSMを出してくるならば何故わざわざ別の論文の抵抗性のスコアをもちだしたのか?抵抗性スコアにおけるOSMの役割はそれほど大きくない。

なにかシンプルではなくはぐらかされている感じがする…

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時間をかけたがまだまだしっくりこない感じ。

図を1つ読むのにも2時間かかるし、解釈をするのはもっと大変で、結局わからないことも多い。今回の論文に関しては、解析が複雑であるし、出てくる遺伝子とかが細かくてイマイチ何の意味があるのかわかならい。

面白くない上に時間をかなり取られたが、次にscRNAseqの論文を読むときに少し楽になっていることを願う。

RNA interference

piRNAについて勉強するために、RNA interferenceについてまとめる。

わかっていたつもりが、意外と難しい。

Essential Cell Biologyなども参考に読んだが、第3版であり、ncRNAに関する研究は近年急速に進んでいるのであまり当てにしない用が良いかもしれない。今日は理解しきれずに現時点での理解を記録する。とくにsiRNAについて錯乱しているところが多い。

 

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DRY解析教本

解析の勉強というよりはまずはPCというものについて学ばなければならない。

①PCのスペック

CPU,メモリ、ストレージによって規定される。CPUは脳、メモリは動作上のスペース、ストレージは引き出し、に例えられる。

私はメモリのことをストレージと勘違いしていたが、初心者にありがちらしい。メモリは作業領域、ストレージは記憶領域。

 

・CPUよりもメモリを優先する。

・ストレージは最近HDよりSSDが多いが大量のデータをずっとおいておくにはUSB3.0対応の外付けHDがおすすめ

 

Macの使い方について

日本語で入力するところから苦心する。そもそも、windowsでもキーボードショートカットを使い出したのは最近。

 

私が研究所で配布されたキーボードはJISキーボードではないので「システム環境設定」→「入力ソース」から設定することが必要。

Macの日本語入力ソースを設定する/切り替える - Apple サポート

キーボードショートカットにも適宜慣れていきたい。